だったら予約して待とうかな、とも思ったのですが、もしかして電子版もあるかもしれない、と調べてみると、ありました。iphoneで読める動画つきのアプリで、価格は古本で買うのと同じくらい。そういえばiphoneで本を読む、という体験はまだしてないし、いい機会かも、と早速ダウンロードして読み始めました。
iphoneでの読感は、というと動画があるのが便利なような邪魔なような。肝心の文章は、字体が好みじゃないし、余白が少なすぎるのも気持ちわるい。そもそもiphoneの画面は本としては小さすぎるんだろうな、あー失敗したかも…。と、紙の本が恋しくなりつつも、内容は面白いのでどんどん読むには読めて結局その日のうちに読了。いわゆる「本」じゃなくて、ワープロで打ってプリントアウトされた原稿を読んでいるような感じでした。
さて、著者のこんまりさんは、バラエティ番組で芸能人の部屋を見事に片づけた姿、その静かなたたずまいが心に残っていた人。この本では、子どもの頃から片づけに励みに励んで、試行錯誤を繰り返し、ついには極めた!でも、まだまだです!という語りがとても素直でユーモラス。そして達人な風情。
それにしても、
片づけは祭りであって、毎日するものではないという主張には驚きました。「そんなの絶対無理!」と最初読んだときは思いましたが、読み進むにつれ、なるほど、という気持ちに。片づけとは、1)モノを捨て、2)収納場所を決める、ことだとシンプルに説明され、その前に理想の暮らしを考えイメージすることが大事なこと、「ときめき」という感覚を基準にモノを選べば、残るのは収納可能な量である、という経験則を説明されるとなんだか納得、自分にもできそうな気持ちに。
具体的に役に立ちそうだ、と思ったのは、場所別ではなく、モノ別に捨てること、そして捨てる順序を指南してくれていること。衣類→本類→書類→小物類→思い出品の順が捨てやすい、というのは、とてもとてもなるほどお、でした。
そして何よりこの本を読んでよかった、と思ったのは、「ときめかないけど、捨てられない」モノへの対処法。ひとつひとつ、その本当の役割を考えてあげること、が大事。役割を終えたものは手放したほうが、モノもうれしいはず、と、このあたりになると、ものすごくモノが擬人化されているのですが、ありがとうの言葉とともに捨てるという彼女の提案は、人間関係にも通じる素敵な別れのよう。「捨てるのはモノがかわいそう、もったいない」という声がきこえてきそうですが、ありがとうの言葉とともにそれがふっとんでいくような気がします。
こんまりさんは神社好きで、巫女の経験もある、ということが後半になってでてきますが、これを冒頭の「片づけは祭りである」と重ねたとき、わたしの脳裏に浮かんだのは、岡野玲子さんの漫画『陰陽師』の世界。片づけはまさに魔法、陰陽師に息をふきかけられた人形の紙が、陰陽師のために働くように、モノが作り手や使い手の想いを宿して働く。片づけは、一種、想いを宿す儀式のようなものかしらん、と、想像がふくらみました。そういうふうに捉えてみるのも、面白いかもしれません。
とまあ、かなりスピリチュアルにも受け取れる後半、だんだんこんまりさんってば、『ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門』のカレン・キングストンさんのように、モノのエネルギー(?)というか、人からモノへの影響の痕跡を読み取ることができる人なのかも、と思われてくるのですが、その表現や感じ方がより日本人的で、わりとすんなりはいってきます。あえていうなら付喪神(つくもがみ)的ななにかを彼女は感じているのかも。
明日は新月。片付け祭りによさそうだし、こんまりさんのおすすめどおり、朝からやってみようかな。iphoneアプリでざくっと一読してしまいましたが、今後は「服のたたみ方」など、要所要所を読みながら、動画をみて実践することになりそうです。
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