2012年7月26日木曜日

アスファルト・コンクリートと瓦の蓄熱。

自転車や車などで移動する際に、あると便利なのがアスファルト・コンクリートで舗装された道。石がごろごろしてるような道に比べれば安定して走れるし、雨の後、水たまりでタイヤがどろどろになることもありません

うちの近所に限っていうなら、庭のほとんどをアスファルト・コンクリートで舗装してある家が少なくありません。車の駐車スペースとして使いやすいし、雑草が生えにくい、冬は雪が溶けやすいという利点があるせいでしょうか。そして、家と家の間にある道路は公道も私道もコンクリート舗装。「土」が見えてるのはプランター表面と畑と田んぼ、土手の一部、山道、といったところです。昔ながらの田舎でさえ相当にコンクリートな地面が増えてますから、都市部では土の表面を見るのって貴重なのかも、と想像したりします

以前はあまり気にしてなかったのですが、猫を飼い始めてからというもの、特に夏場は近所の道の表面温度が気になるようになりました。晴れた日の日中はもちろん、夕方、日が暮れてからも、アスファルト表面はほかほかと熱を放っています。散歩に行きたがって一緒に出かけてみた猫も、あまりの暑さに立ち止まり、涼しい場所を求めてはそこで長時間の休憩…。となると、散歩がなかなか終わらないので、夏の夕方のわたしは、アスファルトに手を置いて温度をたしかめては散歩時間を入念に見極めるようにしています。

それにしても、夏の夕方、アスファルトからたちのぼる熱気を感じつつ家々のエアコンのファンが音をたててこれまた熱気を放っているのをみると、至極単純に「これじゃ地球が温暖化しても仕方ないね」と思ってしまうのですが、数字にしてみると、このアスファルトの蓄熱ってたとえば土に比べてどれくらいなんだろう?とネットで調べてみました。

で、見つけたのが、滋賀県立大学大気水圏研究室の卒業論文「人工陸面の熱物性と大気加熱への影響」の要約。平成6年度卒業生、速水峰彦という人による研究です。ものすごくざっくり言うとアスファルトやコンクリートと瓦の表面温度や蓄熱特性を土壌と比較して、大気への影響を予測したもののようで、結論から言うと、
コンクリートやアスファルトは土壌よりも熱伝導率が2倍で、熱容量も3倍近くも大きく、蓄熱性が高いことがわかった。
コンクリート・アスファルトは日中に多くの熱を物質内部へと蓄え、夜間に放出していると考えられる。その結果大気の加熱効果はコンクリート・アスファルトで最大2℃/時間程度はあると試算された。
とのこと。つまりは、アスファルト・コンクリート(コンクリート・アスファルト)は土壌よりも蓄熱性が高く、昼に蓄えた熱を、夜放出している(と考えられる)、という結果で、わたしたちの一般的な感覚にかなり近いのではないでしょうか。

この研究でちょっと面白いのは、「瓦」を比較対象にしていることで、これについては、
瓦の熱伝導率・熱容量は土壌とほとんど変わらなかった。
瓦による蓄熱効果は小さく、大気加熱の効果はほとんどない。
となってます。蓄熱についてみると、瓦は土壌とほとんど変わらない。瓦=土と、強引に単純化すると、瓦って縦穴式住居とか、人間が土の中に住んでた頃の名残なのかしらん、なんて思えたり、瓦って一種の断熱材的な役割があるのかあと、しみじみしたり。飛躍してるとは思いますが、人が住まいに求める熱特性は昔から変わらないのかしら、なんて思えたりもします。

ところで、この「蓄熱」って観点から見た時、太陽光パネル(太陽電池)はどうなんでしょう?日本の屋根や土の上にどんどん太陽光パネルが増えていきそうな今日この頃、住まいや環境への影響がすこし気になってます。

関連リンク
人工陸面の熱物性と大気加熱への影響
速水峰彦(滋賀県立大学大気水圏研究室 平成6年度卒業論文)

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