2014年1月15日水曜日

アラン編みに願いを。

今年はじめての更新となります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、前エントリーにも書いたように、2014年は帽子をたくさん編もう!と思っていたのですが、その前にアラン編みのセーターをひとつ自分用に、と編み始めたのがなかなかに大変でまだ終わりが見えません。たぶん、今月中に終わればいいほうで、もしかしたら来月まで持ち越すかも。この冬着れたらいいなあ、と気が遠くなっています。

アラン編みとは、アイルランド西方に浮かぶアラン諸島発祥の編み物。ケルト人女性によるシンボリックな模様が特徴なのですが、その模様ひとつひとつに願いごとが込められているそう。例えば、日本のセーターでもよく使われる模様、ケーブル(縄編み)は漁師の使うロープを表し、漁の安全と大量の願いが込められているのだとか。

わたしが今編んでるセーターは、そんなアラン編みの古典的な模様をいくつも組み合わせたもので、編み図は三國万里子さんによるもの。仕上がってくると、おおう!と感動がありますが、ものすごおく手間がかかります。もちろん編み図をみた時点でそんなことはわかっていたのですが、雪山に挑戦するような気持ちでトライ。

そして今わたしは遭難しかかっております( -e-)。前身頃と後ろ身頃、ずしりと重さのある2枚を仕上げて、袖を編み始め、すっかり下山気分だったのですが、よくよく模様をみてみると、なんか変。編んでる時も違和感があったのですが、編み図とは一致してるしこんなもんか、とその時は必死だったのもあってとりあえず編んでた部分が、今になって編み図自体が間違っていた!?ということを知って愕然。文化出版局さん、もっとはやく教えて欲しかった!!涙

模様を間違えたって、セーターとしては問題ないんですが、でも、一応アラン編みって願い事のかたまりなんだよね、という目で見てみると、やっぱ編み直しだなあと、泣きそうになりながらほどくことを決意して実行したのが上の写真。間違っていたのは、セーターの中央付近の模様で、「ダイヤモンド」柄の中の、「ハニコム(蜂の巣)」柄でした。

柄にこめられた願いごとはというと、「ダイヤモンド」が成功や富、財産を、「ハニコム」はミツバチのように働き、報酬を得られることを意味するそうな。簡単に言えば、しっかりはたらいて、富を得る、みたいな感じ?

というわけで、今年は働くぜ!という気持ちをこめて、ハニコム、蜂の巣の部分を意識して丁寧に編むつもり。

他にもこのセーターは「スプーン」柄に食物に不自由せず健康でいられることを、「ケーブル」柄で漁の安全と大量を、と盛りだくさん。まあ、これだけの願い事があっさりかなうとは限らない訳で、願い事がつまってるだけ編むのが大変なのは当然かもしれません。

そもそもきっとこの複雑な模様は、漁に出た家族を待つ時間などに脳裏に浮かぶ様々な不安を静かな祈りに変えていく、写経のような役目をしてるのかも。自分のために編むのもいいけど、やっぱり誰かのために編むのが似合うセーターだなあとも思うのでした。



この本の編み図で編んでます。これから編む方はぜひ訂正表をチェック!


アラン模様の意味については、この本を参考にしました。